内視鏡検査について

内視鏡検査について

ピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍・胃がん

 胃内のピロリ菌は60歳以上の日本人の約50%が持っています。3,000万人以上が持っていると言われており、そのうち毎年12万人が胃がんになり5万人が亡くなります。肺がんに次いでがん死亡の第2位です。必ず胃がんになるわけではありませんが、胃炎を起こし潰瘍、胃がんの原因であることが明らかになりました。

 ピロリ菌は抵抗力の未熟な5歳までに感染すると言われております。特にピロリ菌を持っている養育者が子どもと食器やお箸を共有すると感染させてしまうことがあります。次の世代に伝えないように、ご自身のピロリ菌感染有無を知っておくことが大切です。

  • 平成25年2月より「我が国からの胃がん撲滅を目指して」胃カメラで胃炎があった方はピロリ菌の詳しい検査(おもに呼気試験)を行い、除菌することが保険で認められました。

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法について

  • 胃薬と抗生剤2種類を一週間飲んでいただきます。初回除菌成功率は約74%です。失敗しても二次除菌を行えば95.6%除菌できます。
  • 40歳代までに除菌できれば胃がん予防になると言われております。それ以上の方でも3分の1に胃がんが減少すると言われております。除菌後も発生をゼロには抑えられないので定期的な検診は大切です。
  • 除菌の副作用は軟便・下痢・味覚異常(食べ物を苦く感じる)・肝機能障害・ペニシリンアレルギーによる蕁麻疹などです。

除菌の保険適応疾患

  1. 胃潰瘍十二指腸潰瘍の方、もしくは以前に潰瘍になった方
  2. 胃MALTリンパ腫
  3. 特発性血小板減少性紫斑病
  4. 早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃
  5. ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(平成25年2月22日より保険適応)
    ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の診断には胃カメラが必須です。
  6. 以下a.及びb.の両方を実施する必要があります。

    1. ヘリコバクター・ピロリの感染を以下のいずれかの方法で確認する。
      迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験、糞便中抗原測定
    2. 胃カメラにより、慢性胃炎の所見があることを確認する。
  7. 保険適応外であっても自費診療※1での除菌が対応可能です。
    (持病や内服薬の取り合わせによって除菌の優先順位を慎重に考慮いたします。)
    日本ヘリコバクター学会で除菌推奨度Aの疾患
    1. 胃過形成性ポリープ
    2. 機能性ディスペプシア
    3. その他の疾患
      • 鉄欠乏性貧血
      • 慢性蕁麻疹
      • 三次除菌以降
      • ペニシリンアレルギーの方

大腸ポリープについて

 治療の必要な5mm以上のポリープは出血や穿孔の合併症に注意しながら内視鏡的に切除が可能です。大きなポリープで粘膜切開剥離法(ESD)等が必要な場合は地域の基幹病院と連携して対応しております。(公立昭和病院、武蔵野赤十字病院、杏林大学、順天堂練馬病院、その他がん専門病院)

当院のピロリ菌除菌成績(抜粋)

  • 症例数:389例、男性:194人、女性:195人
  • 平均年齢:63.1±11.9歳(最年少19歳、最高齢86歳)

▼一次除菌率:389人中288人成功。74%。
(男性75.9%、女性72.2%)

一次除菌率グラフ

▼二次除菌率:68人中65人成功。95.6%。

二次除菌率グラフ

自費除菌(10割負担)の価格

感染診断・除菌判定
ピロリ菌呼気テスト ¥5,821
ピロリ菌血中抗体価測定 ¥2,635
ピロリ菌尿中抗体測定 ¥2,311
経鼻内視鏡
観察のみ ¥13,295 +生検 ¥14,256
+ピロリ菌培養 ¥5,184
+ヘリコチェック ¥2,160
ピロリ菌の薬代
¥6,200~¥7,800

痛みの少ない大腸内視鏡について

 当院では、痛みの少ない大腸内視鏡を目指しております。 鎮痛剤と鎮静剤によって「意識下鎮静[※](うとうとしている状態だが、声掛けには応答できる状態)」で検査を受けることができます。検査後は安静室でしばらく休んでいただきます。

参照[※]
CQ6:意識下鎮静は内視鏡診療において至適鎮静レベルか?
ステートメント6
通常内視鏡検査における妥当な鎮静レベルは中等度鎮静(意識下鎮静)
すなわち『問いかけまたは触覚刺激に対して意図して反応でき、呼吸循環機能と気道防御反射は維持されている状態』である。
Delphi法による評価:中央値:9、最低値:7、最高値:9
Evidence levelⅠ、推奨度A
(日本消化器内視鏡学会雑誌,Vol.55(12),Dec.2013,3832)

当院の内視鏡検査数の推移

内視鏡検査数の推移グラフ

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